五旬祭後第1主日
マトフェイ38端;10:32-33,37-38,19:27-30
10:32だから人の前でわたしを受けいれる者を、わたしもまた、天にいますわたしの父の前で受けいれるであろう。
10:33しかし、人の前でわたしを拒む者を、わたしも天にいますわたしの父の前で拒むであろう。
10:37わたしよりも父または母を愛する者は、わたしにふさわしくない。わたしよりもむすこや娘を愛する者は、わたしにふさわしくない。
10:38また自分の十字架をとってわたしに従ってこない者はわたしにふさわしくない。
19:27そのとき、ペテロがイエスに答えて言った、「ごらんなさい、わたしたちはいっさいを捨てて、あなたに従いました。ついては、何がいただけるでしょうか」。
19:28イエスは彼らに言われた、「よく聞いておくがよい。世が改まって、人の子がその栄光の座につく時には、わたしに従ってきたあなたがたもまた、十二の位に座してイスラエルの十二の部族をさばくであろう。
19:29おおよそ、わたしの名のために、家、兄弟、姉妹、父、母、子、もしくは畑を捨てた者は、その幾倍もを受け、また永遠の生命を受けつぐであろう。
19:30しかし、多くの先の者はあとになり、あとの者は先になるであろう。
五旬祭後第2主日
マトフェイ9端;4:18-23
4:18さて、イエスがガリラヤの海べを歩いておられると、ふたりの兄弟、すなわち、ペテロと呼ばれたシモンとその兄弟アンデレとが、海に網を打っているのをごらんになった。彼らは漁師であった。
4:19イエスは彼らに言われた、「わたしについてきなさい。あなたがたを、人間をとる漁師にしてあげよう」。
4:20すると、彼らはすぐに網を捨てて、イエスに従った。
4:21そこから進んで行かれると、ほかのふたりの兄弟、すなわち、ゼベダイの子ヤコブとその兄弟ヨハネとが、父ゼベダイと一緒に、舟の中で網を繕っているのをごらんになった。そこで彼らをお招きになると、
4:22すぐ舟と父とをおいて、イエスに従って行った。
4:23イエスはガリラヤの全地を巡り歩いて、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、民の中のあらゆる病気、あらゆるわずらいをおいやしになった。
五旬祭後第3主日
マトフェイ18端;6:22-33
6:22目はからだのあかりである。だから、あなたの目が澄んでおれば、全身も明るいだろう。
6:23しかし、あなたの目が悪ければ、全身も暗いだろう。だから、もしあなたの内なる光が暗ければ、その暗さは、どんなであろう。
6:24だれも、ふたりの主人に兼ね仕えることはできない。一方を憎んで他方を愛し、あるいは、一方に親しんで他方をうとんじるからである。あなたがたは、神と富とに兼ね仕えることはできない。
6:25それだから、あなたがたに言っておく。何を食べようか、何を飲もうかと、自分の命のことで思いわずらい、何を着ようかと自分のからだのことで思いわずらうな。命は食物にまさり、からだは着物にまさるではないか。
6:26空の鳥を見るがよい。まくことも、刈ることもせず、倉に取りいれることもしない。それだのに、あなたがたの天の父は彼らを養っていて下さる。あなたがたは彼らよりも、はるかにすぐれた者ではないか。
6:27あなたがたのうち、だれが思いわずらったからとて、自分の寿命をわずかでも延ばすことができようか。
6:28また、なぜ、着物のことで思いわずらうのか。野の花がどうして育っているか、考えて見るがよい。働きもせず、紡ぎもしない。
6:29しかし、あなたがたに言うが、栄華をきわめた時のソロモンでさえ、この花の一つほどにも着飾ってはいなかった。
6:30きょうは生えていて、あすは炉に投げ入れられる野の草でさえ、神はこのように装って下さるのなら、あなたがたに、それ以上よくしてくださらないはずがあろうか。ああ、信仰の薄い者たちよ。
6:31だから、何を食べようか、何を飲もうか、あるいは何を着ようかと言って思いわずらうな。
6:32これらのものはみな、異邦人が切に求めているものである。あなたがたの天の父は、これらのものが、ことごとくあなたがたに必要であることをご存じである。
6:33まず神の国と神の義とを求めなさい。そうすれば、これらのものは、すべて添えて与えられるであろう。
五旬祭後第4主日
マトフェイ25端;8:5-13
8:5さて、イエスがカペナウムに帰ってこられたとき、ある百卒長がみもとにきて訴えて言った、
8:6「主よ、わたしの僕が中風でひどく苦しんで、家に寝ています」。
8:7イエスは彼に、「わたしが行ってなおしてあげよう」と言われた。
8:8そこで百卒長は答えて言った、「主よ、わたしの屋根の下にあなたをお入れする資格は、わたしにはございません。ただ、お言葉を下さい。そうすれば僕はなおります。 8:9わたしも権威の下にある者ですが、わたしの下にも兵卒がいまして、ひとりの者に『行け』と言えば行き、ほかの者に『こい』と言えばきますし、また、僕に『これをせよ』と言えば、してくれるのです」。
8:10イエスはこれを聞いて非常に感心され、ついてきた人々に言われた、「よく聞きなさい。イスラエル人の中にも、これほどの信仰を見たことがない。
8:11なお、あなたがたに言うが、多くの人が東から西からきて、天国で、アブラハム、イサク、ヤコブと共に宴会の席につくが、
8:12この国の子らは外のやみに追い出され、そこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう」。
8:13それからイエスは百卒長に「行け、あなたの信じたとおりになるように」と言われた。すると、ちょうどその時に、僕はいやされた。
五旬祭後第5主日
マトフェイ28端;8:28-9:1
8:28それから、向こう岸、ガダラ人の地に着かれると、悪霊につかれたふたりの者が、墓場から出てきてイエスに出会った。彼らは手に負えない乱暴者で、だれもその辺の道を通ることができないほどであった。
8:29すると突然、彼らは叫んで言った、「神の子よ、あなたはわたしどもとなんの係わりがあるのです。まだその時ではないのに、ここにきて、わたしどもを苦しめるのですか」。
8:30さて、そこからはるか離れた所に、おびただしい豚の群れが飼ってあった。
8:31悪霊どもはイエスに願って言った、「もしわたしどもを追い出されるのなら、あの豚の群れの中につかわして下さい」。
8:32そこで、イエスが「行け」と言われると、彼らは出て行って、豚の中へはいり込んだ。すると、その群れ全体が、がけから海へなだれを打って駆け下り、水の中で死んでしまった。
8:33飼う者たちは逃げて町に行き、悪霊につかれた者たちのことなど、いっさいを知らせた。
8:34すると、町中の者がイエスに会いに出てきた。そして、イエスに会うと、この地方から去ってくださるようにと頼んだ。
9:1さて、イエスは舟に乗って海を渡り、自分の町に帰られた。
五旬祭後第6主日
マトフェイ29端;9:1-8
9:1さて、イエスは舟に乗って海を渡り、自分の町に帰られた。
9:2すると、人々が中風の者を床の上に寝かせたままでみもとに運んできた。イエスは彼らの信仰を見て、中風の者に、「子よ、しっかりしなさい。あなたの罪はゆるされたのだ」と言われた。
9:3すると、ある律法学者たちが心の中で言った、「この人は神を汚している」。
9:4イエスは彼らの考えを見抜いて、「なぜ、あなたがたは心の中で悪いことを考えているのか。
9:5あなたの罪はゆるされた、と言うのと、起きて歩け、と言うのと、どちらがたやすいか。
9:6しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威をもっていることが、あなたがたにわかるために」と言い、中風の者にむかって、「起きよ、床を取りあげて家に帰れ」と言われた。 9:7すると彼は起きあがり、家に帰って行った。
9:8群衆はそれを見て恐れ、こんな大きな権威を人にお与えになった神をあがめた。
五旬祭後第7主日
マトフェイ33端;9:27-35
9:27そこから進んで行かれると、ふたりの盲人が、「ダビデの子よ、わたしたちをあわれんで下さい」と叫びながら、イエスについてきた。
9:28そしてイエスが家にはいられると、盲人たちがみもとにきたので、彼らに「わたしにそれができると信じるか」と言われた。彼らは言った、「主よ、信じます」。
9:29そこで、イエスは彼らの目にさわって言われた、「あなたがたの信仰どおり、あなたがたの身になるように」。
9:30すると彼らの目が開かれた。イエスは彼らをきびしく戒めて言われた、「だれにも知れないように気をつけなさい」。
9:31しかし、彼らは出て行って、その地方全体にイエスのことを言いひろめた。
9:32彼らが出て行くと、人々は悪霊につかれたおしをイエスのところに連れてきた。 9:33すると、悪霊は追い出されて、おしが物を言うようになった。群衆は驚いて、「このようなことがイスラエルの中で見られたことは、これまで一度もなかった」と言った。
9:34しかし、パリサイ人たちは言った、「彼は、悪霊どものかしらによって悪霊どもを追い出しているのだ」。
9:35イエスは、すべての町々村々を巡り歩いて、諸会堂で教え、御国の福音を宣べ伝え、あらゆる病気、あらゆるわずらいをおいやしになった。
五旬祭後第8主日
マトフェイ58端;14:14-22
14:14イエスは舟から上がって、大ぜいの群衆をごらんになり、彼らを深くあわれんで、そのうちの病人たちをおいやしになった。
14:15夕方になったので、弟子たちがイエスのもとにきて言った、「ここは寂しい所でもあり、もう時もおそくなりました。群衆を解散させ、めいめいで食物を買いに、村々へ行かせてください」。
14:16するとイエスは言われた、「彼らが出かけて行くには及ばない。あなたがたの手で食物をやりなさい」。
14:17弟子たちは言った、「わたしたちはここに、パン五つと魚二ひきしか持っていません」。
14:18イエスは言われた、「それをここに持ってきなさい」。
14:19そして群衆に命じて、草の上にすわらせ、五つのパンと二ひきの魚とを手に取り、天を仰いでそれを祝福し、パンをさいて弟子たちに渡された。弟子たちはそれを群衆に与えた。
14:20みんなの者は食べて満腹した。パンくずの残りを集めると、十二のかごにいっぱいになった。
14:21食べた者は、女と子供とを除いて、おおよそ五千人であった。
14:22それからすぐ、イエスは群衆を解散させておられる間に、しいて弟子たちを舟に乗り込ませ、向こう岸へ先におやりになった。
五旬祭後第9主日
マトフェイ59端;14:22-34
14:22それからすぐ、イエスは群衆を解散させておられる間に、しいて弟子たちを舟に乗り込ませ、向こう岸へ先におやりになった。
14:23そして群衆を解散させてから、祈るためひそかに山へ登られた。夕方になっても、ただひとりそこにおられた。
14:24ところが舟は、もうすでに陸から数丁も離れており、逆風が吹いていたために、波に悩まされていた。
14:25イエスは夜明けの四時ごろ、海の上を歩いて彼らの方へ行かれた。
14:26弟子たちは、イエスが海の上を歩いておられるのを見て、幽霊だと言っておじ惑い、恐怖のあまり叫び声をあげた。
14:27しかし、イエスはすぐに彼らに声をかけて、「しっかりするのだ、わたしである。恐れることはない」と言われた。
14:28するとペテロが答えて言った、「主よ、あなたでしたか。では、わたしに命じて、水の上を渡ってみもとに行かせてください」。
14:29イエスは、「おいでなさい」と言われたので、ペテロは舟からおり、水の上を歩いてイエスのところへ行った。
14:30しかし、風を見て恐ろしくなり、そしておぼれかけたので、彼は叫んで、「主よ、お助けください」と言った。
14:31イエスはすぐに手を伸ばし、彼をつかまえて言われた、「信仰の薄い者よ、なぜ疑ったのか」。
14:32ふたりが舟に乗り込むと、風はやんでしまった。
14:33舟の中にいた者たちはイエスを拝して、「ほんとうに、あなたは神の子です」と言った。
14:34それから、彼らは海を渡ってゲネサレの地に着いた。
五旬祭後第10主日
マトフェイ72端;17:14-23
17:14さて彼らが群衆のところに帰ると、ひとりの人がイエスに近寄ってきて、ひざまずいて、言った、
17:15「主よ、わたしの子をあわれんでください。てんかんで苦しんでおります。何度も何度も火の中や水の中に倒れるのです。
17:16それで、その子をお弟子たちのところに連れてきましたが、なおしていただけませんでした」。
17:17イエスは答えて言われた、「ああ、なんという不信仰な、曲った時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒におられようか。いつまであなたがたに我慢ができようか。その子をここに、わたしのところに連れてきなさい」。
17:18イエスがおしかりになると、悪霊はその子から出て行った。そして子はその時いやされた。
17:19それから、弟子たちがひそかにイエスのもとにきて言った、「わたしたちは、どうして霊を追い出せなかったのですか」。
17:20するとイエスは言われた、「あなたがたの信仰が足りないからである。よく言い聞かせておくが、もし、からし種一粒ほどの信仰があるなら、この山にむかって『ここからあそこに移れ』と言えば、移るであろう。このように、あなたがたにできない事は、何もないであろう。
17:21しかし、このたぐいは、祈と断食とによらなければ、追い出すことはできない」。
17:22彼らがガリラヤで集まっていた時、イエスは言われた、「人の子は人々の手にわたされ、
17:23彼らに殺され、そして三日目によみがえるであろう」。弟子たちは非常に心をいためた。
五旬祭後第11主日
マトフェイ77端;18:23-35
18:23それだから、天国は王が僕たちと決算をするようなものだ。
18:24決算が始まると、一万タラントの負債のある者が、王のところに連れられてきた。
18:25しかし、返せなかったので、主人は、その人自身とその妻子と持ち物全部とを売って返すように命じた。
18:26そこで、この僕はひれ伏して哀願した、『どうぞお待ちください。全部お返しいたしますから』。
18:27僕の主人はあわれに思って、彼をゆるし、その負債を免じてやった。
18:28その僕が出て行くと、百デナリを貸しているひとりの仲間に出会い、彼をつかまえ、首をしめて『借金を返せ』と言った。
18:29そこでこの仲間はひれ伏し、『どうか待ってくれ。返すから』と言って頼んだ。
18:30しかし承知せずに、その人をひっぱって行って、借金を返すまで獄に入れた。
18:31その人の仲間たちは、この様子を見て、非常に心をいため、行ってそのことをのこらず主人に話した。
18:32そこでこの主人は彼を呼びつけて言った、『悪い僕、わたしに願ったからこそ、あの負債を全部ゆるしてやったのだ。
18:33わたしがあわれんでやったように、あの仲間をあわれんでやるべきではなかったか』。
18:34そして主人は立腹して、負債全部を返してしまうまで、彼を獄吏に引きわたした。
18:35あなたがためいめいも、もし心から兄弟をゆるさないならば、わたしの天の父もまたあなたがたに対して、そのようになさるであろう」。
五旬祭後第12主日
マトフェイ79端;19:16-26
19:16すると、ひとりの人がイエスに近寄ってきて言った、「先生、永遠の生命を得るためには、どんなよいことをしたらいいでしょうか」。
19:17イエスは言われた、「なぜよい事についてわたしに尋ねるのか。よいかたはただひとりだけである。もし命に入りたいと思うなら、いましめを守りなさい」。
19:18彼は言った、「どのいましめですか」。イエスは言われた、「『殺すな、姦淫するな、盗むな、偽証を立てるな。
19:19父と母とを敬え』。また『自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ』」。
19:20この青年はイエスに言った、「それはみな守ってきました。ほかに何が足りないのでしょう」。
19:21イエスは彼に言われた、「もしあなたが完全になりたいと思うなら、帰ってあなたの持ち物を売り払い、貧しい人々に施しなさい。そうすれば、天に宝を持つようになろう。そして、わたしに従ってきなさい」。
19:22この言葉を聞いて、青年は悲しみながら立ち去った。たくさんの資産を持っていたからである。
19:23それからイエスは弟子たちに言われた、「よく聞きなさい。富んでいる者が天国にはいるのは、むずかしいものである。
19:24また、あなたがたに言うが、富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい」。
19:25弟子たちはこれを聞いて非常に驚いて言った、「では、だれが救われることができるのだろう」。
19:26イエスは彼らを見つめて言われた、「人にはそれはできないが、神にはなんでもできない事はない」。
五旬祭後第13主日
マトフェイ87端;21:33-42
21:33もう一つの譬を聞きなさい。ある所に、ひとりの家の主人がいたが、ぶどう園を造り、かきをめぐらし、その中に酒ぶねの穴を掘り、やぐらを立て、それを農夫たちに貸して、旅に出かけた。
21:34収穫の季節がきたので、その分け前を受け取ろうとして、僕たちを農夫のところへ送った。
21:35すると、農夫たちは、その僕たちをつかまえて、ひとりを袋だたきにし、ひとりを殺し、もうひとりを石で打ち殺した。
21:36また別に、前よりも多くの僕たちを送ったが、彼らをも同じようにあしらった。
21:37しかし、最後に、わたしの子は敬ってくれるだろうと思って、主人はその子を彼らの所につかわした。
21:38すると農夫たちは、その子を見て互に言った、『あれはあと取りだ。さあ、これを殺して、その財産を手に入れよう』。
21:39そして彼をつかまえて、ぶどう園の外に引き出して殺した。
21:40このぶどう園の主人が帰ってきたら、この農夫たちをどうするだろうか」。
21:41彼らはイエスに言った、「悪人どもを、皆殺しにして、季節ごとに収穫を納めるほかの農夫たちに、そのぶどう園を貸し与えるでしょう」。
21:42イエスは彼らに言われた、「あなたがたは、聖書でまだ読んだことがないのか、
『家造りらの捨てた石が隅のかしら石になった。これは主がなされたことで、わたしたちの目には不思議に見える』。
五旬祭後第14主日
マトフェイ89端;22:1-14
22:1イエスはまた、譬で彼らに語って言われた、
22:2「天国は、ひとりの王がその王子のために、婚宴を催すようなものである。
22:3王はその僕たちをつかわして、この婚宴に招かれていた人たちを呼ばせたが、その人たちはこようとはしなかった。
22:4そこでまた、ほかの僕たちをつかわして言った、『招かれた人たちに言いなさい。食事の用意ができました。牛も肥えた獣もほふられて、すべての用意ができました。さあ、婚宴においでください』。
22:5しかし、彼らは知らぬ顔をして、ひとりは自分の畑に、ひとりは自分の商売に出て行き、
22:6またほかの人々は、この僕たちをつかまえて侮辱を加えた上、殺してしまった。
22:7そこで王は立腹し、軍隊を送ってそれらの人殺しどもを滅ぼし、その町を焼き払った。
22:8それから僕たちに言った、『婚宴の用意はできているが、招かれていたのは、ふさわしくない人々であった。
22:9だから、町の大通りに出て行って、出会った人はだれでも婚宴に連れてきなさい』。
22:10そこで、僕たちは道に出て行って、出会う人は、悪人でも善人でもみな集めてきたので、婚宴の席は客でいっぱいになった。
22:11王は客を迎えようとしてはいってきたが、そこに礼服をつけていないひとりの人を見て、
22:12彼に言った、『友よ、どうしてあなたは礼服をつけないで、ここにはいってきたのですか』。しかし、彼は黙っていた。
22:13そこで、王はそばの者たちに言った、『この者の手足をしばって、外の暗やみにほうり出せ。そこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう』。
22:14招かれる者は多いが、選ばれる者は少ない」。
五旬祭後第15主日
マトフェイ92端;22:35-46
22:35そして彼らの中のひとりの律法学者が、イエスをためそうとして質問した、
22:36「先生、律法の中で、どのいましめがいちばん大切なのですか」。
22:37イエスは言われた、「『心をつくし、精神をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。
22:38これがいちばん大切な、第一のいましめである。
22:39第二もこれと同様である、『自分を愛するようにあなたの隣り人を愛せよ』。
22:40これらの二つのいましめに、律法全体と預言者とが、かかっている」。
22:41パリサイ人たちが集まっていたとき、イエスは彼らにお尋ねになった、
22:42「あなたがたはキリストをどう思うか。だれの子なのか」。彼らは「ダビデの子です」と答えた。
22:43イエスは言われた、「それではどうして、ダビデが御霊に感じてキリストを主と呼んでいるのか。
22:44すなわち『主はわが主に仰せになった、あなたの敵をあなたの足もとに置くときまでは、わたしの右に座していなさい』。
22:45このように、ダビデ自身がキリストを主と呼んでいるなら、キリストはどうしてダビデの子であろうか」。
22:46イエスにひと言でも答えうる者は、なかったし、その日からもはや、進んでイエスに質問する者も、いなくなった。
五旬祭後第16主日
マトフェイ105端;25:14-30
25:14また天国は、ある人が旅に出るとき、その僕どもを呼んで、自分の財産を預けるようなものである。
25:15すなわち、それぞれの能力に応じて、ある者には五タラント、ある者には二タラント、ある者には一タラントを与えて、旅に出た。
25:16五タラントを渡された者は、すぐに行って、それで商売をして、ほかに五タラントをもうけた。
25:17二タラントの者も同様にして、ほかに二タラントをもうけた。
25:18しかし、一タラントを渡された者は、行って地を掘り、主人の金を隠しておいた。
25:19だいぶ時がたってから、これらの僕の主人が帰ってきて、彼らと計算をしはじめた。
25:20すると五タラントを渡された者が進み出て、ほかの五タラントをさし出して言った、『ご主人様、あなたはわたしに五タラントをお預けになりましたが、ごらんのとおり、ほかに五タラントをもうけました』。
25:21主人は彼に言った、『良い忠実な僕よ、よくやった。あなたはわずかなものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ』。
25:22二タラントの者も進み出て言った、『ご主人様、あなたはわたしに二タラントをお預けになりましたが、ごらんのとおり、ほかに二タラントをもうけました』。
25:23主人は彼に言った、『良い忠実な僕よ、よくやった。あなたはわずかなものに忠実であったから、多くのものを管理させよう。主人と一緒に喜んでくれ』。
25:24一タラントを渡された者も進み出て言った、『ご主人様、わたしはあなたが、まかない所から刈り、散らさない所から集める酷な人であることを承知していました。 25:25そこで恐ろしさのあまり、行って、あなたのタラントを地の中に隠しておきました。ごらんください。ここにあなたのお金がございます』。
25:26すると、主人は彼に答えて言った、『悪い怠惰な僕よ、あなたはわたしが、まかない所から刈り、散らさない所から集めることを知っているのか。
25:27それなら、わたしの金を銀行に預けておくべきであった。そうしたら、わたしは帰ってきて、利子と一緒にわたしの金を返してもらえたであろうに。
25:28さあ、そのタラントをこの者から取りあげて、十タラントを持っている者にやりなさい。
25:29おおよそ、持っている人は与えられて、いよいよ豊かになるが、持っていない人は、持っているものまでも取り上げられるであろう。
25:30この役に立たない僕を外の暗い所に追い出すがよい。彼は、そこで泣き叫んだり、歯がみをしたりするであろう』。
五旬祭後第17主日
マトフェイ62端;15:21-28
15:21さて、イエスはそこを出て、ツロとシドンとの地方へ行かれた。
15:22すると、そこへ、その地方出のカナンの女が出てきて、「主よ、ダビデの子よ、わたしをあわれんでください。娘が悪霊にとりつかれて苦しんでいます」と言って叫びつづけた。
15:23しかし、イエスはひと言もお答えにならなかった。そこで弟子たちがみもとにきて願って言った、「この女を追い払ってください。叫びながらついてきていますから」。
15:24するとイエスは答えて言われた、「わたしは、イスラエルの家の失われた羊以外の者には、つかわされていない」。
15:25しかし、女は近寄りイエスを拝して言った、「主よ、わたしをお助けください」。
15:26イエスは答えて言われた、「子供たちのパンを取って小犬に投げてやるのは、よろしくない」。
15:27すると女は言った、「主よ、お言葉どおりです。でも、小犬もその主人の食卓から落ちるパンくずは、いただきます」。
15:28そこでイエスは答えて言われた、「女よ、あなたの信仰は見あげたものである。あなたの願いどおりになるように」。その時に、娘はいやされた。
五旬祭後第18主日
ルカ17端;5:1-11
5:1さて、群衆が神の言を聞こうとして押し寄せてきたとき、イエスはゲネサレ湖畔に立っておられたが、 5:2そこに二そうの小舟が寄せてあるのをごらんになった。漁師たちは、舟からおりて網を洗っていた。 5:3その一そうはシモンの舟であったが、イエスはそれに乗り込み、シモンに頼んで岸から少しこぎ出させ、そしてすわって、舟の中から群衆にお教えになった。 5:4話がすむと、シモンに「沖へこぎ出し、網をおろして漁をしてみなさい」と言われた。 5:5シモンは答えて言った、「先生、わたしたちは夜通し働きましたが、何も取れませんでした。しかし、お言葉ですから、網をおろしてみましょう」。 5:6そしてそのとおりにしたところ、おびただしい魚の群れがはいって、網が破れそうになった。
5:7そこで、もう一そうの舟にいた仲間に、加勢に来るよう合図をしたので、彼らがきて魚を両方の舟いっぱいに入れた。そのために、舟が沈みそうになった。
5:8これを見てシモン・ペテロは、イエスのひざもとにひれ伏して言った、「主よ、わたしから離れてください。わたしは罪深い者です」。
5:9彼も一緒にいた者たちもみな、取れた魚がおびただしいのに驚いたからである。
5:10シモンの仲間であったゼベダイの子ヤコブとヨハネも、同様であった。すると、イエスがシモンに言われた、「恐れることはない。今からあなたは人間をとる漁師になるのだ」。
5:11そこで彼らは舟を陸に引き上げ、いっさいを捨ててイエスに従った。
五旬祭後第19主日
ルカ26端;6:31-36
6:31人々にしてほしいと、あなたがたの望むことを、人々にもそのとおりにせよ。
6:32自分を愛してくれる者を愛したからとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でさえ、自分を愛してくれる者を愛している。
6:33自分によくしてくれる者によくしたとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でさえ、それくらいの事はしている。
6:34また返してもらうつもりで貸したとて、どれほどの手柄になろうか。罪人でも、同じだけのものを返してもらおうとして、仲間に貸すのである。
6:35しかし、あなたがたは、敵を愛し、人によくしてやり、また何も当てにしないで貸してやれ。そうすれば受ける報いは大きく、あなたがたはいと高き者の子となるであろう。いと高き者は、恩を知らぬ者にも悪人にも、なさけ深いからである。
6:36あなたがたの父なる神が慈悲深いように、あなたがたも慈悲深い者となれ。
五旬祭後第20主日
ルカ30端;7:11-16
7:11そののち、間もなく、ナインという町へおいでになったが、弟子たちや大ぜいの群衆も一緒に行った。
7:12町の門に近づかれると、ちょうど、あるやもめにとってひとりむすこであった者が死んだので、葬りに出すところであった。大ぜいの町の人たちが、その母につきそっていた。
7:13主はこの婦人を見て深い同情を寄せられ、「泣かないでいなさい」と言われた。
7:14そして近寄って棺に手をかけられると、かついでいる者たちが立ち止まったので、「若者よ、さあ、起きなさい」と言われた。
7:15すると、死人が起き上がって物を言い出した。イエスは彼をその母にお渡しになった。
7:16人々はみな恐れをいだき、「大預言者がわたしたちの間に現れた」、また、「神はその民を顧みてくださった」と言って、神をほめたたえた。
7:17イエスについてのこの話は、ユダヤ全土およびその附近のいたる所にひろまった。
五旬祭後第21主日
ルカ35端;8:5-15
8:5「種まきが種をまきに出て行った。まいているうちに、ある種は道ばたに落ち、踏みつけられ、そして空の鳥に食べられてしまった。
8:6ほかの種は岩の上に落ち、はえはしたが水気がないので枯れてしまった。
8:7ほかの種は、いばらの間に落ちたので、いばらも一緒に茂ってきて、それをふさいでしまった。
8:8ところが、ほかの種は良い地に落ちたので、はえ育って百倍もの実を結んだ」。こう語られたのち、声をあげて「聞く耳のある者は聞くがよい」と言われた。
8:9弟子たちは、この譬はどういう意味でしょうか、とイエスに質問した。
8:10そこで言われた、「あなたがたには、神の国の奥義を知ることが許されているが、ほかの人たちには、見ても見えず、聞いても悟られないために、譬で話すのである。
8:11この譬はこういう意味である。種は神の言である。
8:12道ばたに落ちたのは、聞いたのち、信じることも救われることもないように、悪魔によってその心から御言が奪い取られる人たちのことである。
8:13岩の上に落ちたのは、御言を聞いた時には喜んで受けいれるが、根が無いので、しばらくは信じていても、試錬の時が来ると、信仰を捨てる人たちのことである。
8:14いばらの中に落ちたのは、聞いてから日を過ごすうちに、生活の心づかいや富や快楽にふさがれて、実の熟するまでにならない人たちのことである。
8:15良い地に落ちたのは、御言を聞いたのち、これを正しい良い心でしっかりと守り、耐え忍んで実を結ぶに至る人たちのことである。
五旬祭後第22主日
ルカ83端;16:19-31
16:19ある金持がいた。彼は紫の衣や細布を着て、毎日ぜいたくに遊び暮していた。
16:20ところが、ラザロという貧乏人が全身でき物でおおわれて、この金持の玄関の前にすわり、
16:21その食卓から落ちるもので飢えをしのごうと望んでいた。その上、犬がきて彼のでき物をなめていた。
16:22この貧乏人がついに死に、御使たちに連れられてアブラハムのふところに送られた。金持も死んで葬られた。
16:23そして黄泉にいて苦しみながら、目をあげると、アブラハムとそのふところにいるラザロとが、はるかに見えた。
16:24そこで声をあげて言った、『父、アブラハムよ、わたしをあわれんでください。ラザロをおつかわしになって、その指先を水でぬらし、わたしの舌を冷やさせてください。わたしはこの火炎の中で苦しみもだえています』。
16:25アブラハムが言った、『子よ、思い出すがよい。あなたは生前よいものを受け、ラザロの方は悪いものを受けた。しかし今ここでは、彼は慰められ、あなたは苦しみもだえている。
16:26そればかりか、わたしたちとあなたがたとの間には大きな淵がおいてあって、こちらからあなたがたの方へ渡ろうと思ってもできないし、そちらからわたしたちの方へ越えて来ることもできない』。
16:27そこで金持が言った、『父よ、ではお願いします。わたしの父の家へラザロをつかわしてください。
16:28わたしに五人の兄弟がいますので、こんな苦しい所へ来ることがないように、彼らに警告していただきたいのです』。
16:29アブラハムは言った、『彼らにはモーセと預言者とがある。それに聞くがよかろう』。
16:30金持が言った、『いえいえ、父アブラハムよ、もし死人の中からだれかが兄弟たちのところへ行ってくれましたら、彼らは悔い改めるでしょう』。
16:31アブラハムは言った、『もし彼らがモーセと預言者とに耳を傾けないなら、死人の中からよみがえってくる者があっても、彼らはその勧めを聞き入れはしないであろう』」。
五旬祭後第23主日
ルカ38端;8:26-39
8:26それから、彼らはガリラヤの対岸、ゲラサ人の地に渡った。
8:27陸にあがられると、その町の人で、悪霊につかれて長いあいだ着物も着ず、家に居つかないで墓場にばかりいた人に、出会われた。
8:28この人がイエスを見て叫び出し、みまえにひれ伏して大声で言った、「いと高き神の子イエスよ、あなたはわたしとなんの係わりがあるのです。お願いです、わたしを苦しめないでください」。
8:29それは、イエスが汚れた霊に、その人から出て行け、とお命じになったからである。というのは、悪霊が何度も彼をひき捕えたので、彼は鎖と足かせとでつながれて看視されていたが、それを断ち切っては悪霊によって荒野へ追いやられていたのである。
8:30イエスは彼に「なんという名前か」とお尋ねになると、「レギオンと言います」と答えた。彼の中にたくさんの悪霊がはいり込んでいたからである。
8:31悪霊どもは、底知れぬ所に落ちて行くことを自分たちにお命じにならぬようにと、イエスに願いつづけた。
8:32ところが、そこの山べにおびただしい豚の群れが飼ってあったので、その豚の中へはいることを許していただきたいと、悪霊どもが願い出た。イエスはそれをお許しになった。
8:33そこで悪霊どもは、その人から出て豚の中へはいり込んだ。するとその群れは、がけから湖へなだれを打って駆け下り、おぼれ死んでしまった。
8:34飼う者たちは、この出来事を見て逃げ出して、町や村里にふれまわった。
8:35人々はこの出来事を見に出てきた。そして、イエスのところにきて、悪霊を追い出してもらった人が着物を着て、正気になってイエスの足もとにすわっているのを見て、恐れた。
8:36それを見た人たちは、この悪霊につかれていた者が救われた次第を、彼らに語り聞かせた。
8:37それから、ゲラサの地方の民衆はこぞって、自分たちの所から立ち去ってくださるようにとイエスに頼んだ。彼らが非常な恐怖に襲われていたからである。そこで、イエスは舟に乗って帰りかけられた。
8:38悪霊を追い出してもらった人は、お供をしたいと、しきりに願ったが、イエスはこう言って彼をお帰しになった。
8:39「家へ帰って、神があなたにどんなに大きなことをしてくださったか、語り聞かせなさい」。そこで彼は立ち去って、自分にイエスがして下さったことを、ことごとく町中に言いひろめた。
五旬祭後第24主日
ルカ39端;8:41-56
8:41するとそこに、ヤイロという名の人がきた。この人は会堂司であった。イエスの足もとにひれ伏して、自分の家においでくださるようにと、しきりに願った。
8:42彼に十二歳ばかりになるひとり娘があったが、死にかけていた。ところが、イエスが出て行かれる途中、群衆が押し迫ってきた。
8:43ここに、十二年間も長血をわずらっていて、医者のために自分の身代をみな使い果してしまったが、だれにもなおしてもらえなかった女がいた。
8:44この女がうしろから近寄ってみ衣のふさにさわったところ、その長血がたちまち止まってしまった。
8:45イエスは言われた、「わたしにさわったのは、だれか」。人々はみな自分ではないと言ったので、ペテロが「先生、群衆があなたを取り囲んで、ひしめき合っているのです」と答えた。
8:46しかしイエスは言われた、「だれかがわたしにさわった。力がわたしから出て行ったのを感じたのだ」。
8:47女は隠しきれないのを知って、震えながら進み出て、みまえにひれ伏し、イエスにさわった訳と、さわるとたちまちなおったこととを、みんなの前で話した。
8:48そこでイエスが女に言われた、「娘よ、あなたの信仰があなたを救ったのです。安心して行きなさい」。
8:49イエスがまだ話しておられるうちに、会堂司の家から人がきて、「お嬢さんはなくなられました。この上、先生を煩わすには及びません」と言った。
8:50しかしイエスはこれを聞いて会堂司にむかって言われた、「恐れることはない。ただ信じなさい。娘は助かるのだ」。
8:51それから家にはいられるとき、ペテロ、ヨハネ、ヤコブおよびその子の父母のほかは、だれも一緒にはいって来ることをお許しにならなかった。
8:52人々はみな、娘のために泣き悲しんでいた。イエスは言われた、「泣くな、娘は死んだのではない。眠っているだけである」。
8:53人々は娘が死んだことを知っていたので、イエスをあざ笑った。
8:54イエスは娘の手を取って、呼びかけて言われた、「娘よ、起きなさい」。
8:55するとその霊がもどってきて、娘は即座に立ち上がった。イエスは何か食べ物を与えるように、さしずをされた。
8:56両親は驚いてしまった。イエスはこの出来事をだれにも話さないようにと、彼らに命じられた。
五旬祭後第25主日
ルカ53端;10:25-37
10:25するとそこへ、ある律法学者が現れ、イエスを試みようとして言った、「先生、何をしたら永遠の生命が受けられましょうか」。
10:26彼に言われた、「律法にはなんと書いてあるか。あなたはどう読むか」。
10:27彼は答えて言った、「『心をつくし、精神をつくし、力をつくし、思いをつくして、主なるあなたの神を愛せよ』。また、『自分を愛するように、あなたの隣り人を愛せよ』とあります」。
10:28彼に言われた、「あなたの答は正しい。そのとおり行いなさい。そうすれば、いのちが得られる」。
10:29すると彼は自分の立場を弁護しようと思って、イエスに言った、「では、わたしの隣り人とはだれのことですか」。
10:30イエスが答えて言われた、「ある人がエルサレムからエリコに下って行く途中、強盗どもが彼を襲い、その着物をはぎ取り、傷を負わせ、半殺しにしたまま、逃げ去った。
10:31するとたまたま、ひとりの祭司がその道を下ってきたが、この人を見ると、向こう側を通って行った。
10:32同様に、レビ人もこの場所にさしかかってきたが、彼を見ると向こう側を通って行った。
10:33ところが、あるサマリヤ人が旅をしてこの人のところを通りかかり、彼を見て気の毒に思い、
10:34近寄ってきてその傷にオリブ油とぶどう酒とを注いでほうたいをしてやり、自分の家畜に乗せ、宿屋に連れて行って介抱した。
10:35翌日、デナリ二つを取り出して宿屋の主人に手渡し、『この人を見てやってください。費用がよけいにかかったら、帰りがけに、わたしが支払います』と言った。
10:36この三人のうち、だれが強盗に襲われた人の隣り人になったと思うか」。
10:37彼が言った、「その人に慈悲深い行いをした人です」。そこでイエスは言われた、「あなたも行って同じようにしなさい」。
五旬祭後第26主日
ルカ66端;12:16-21
12:16そこで一つの譬を語られた、「ある金持の畑が豊作であった。
12:17そこで彼は心の中で、『どうしようか、わたしの作物をしまっておく所がないのだが』と思いめぐらして
12:18言った、『こうしよう。わたしの倉を取りこわし、もっと大きいのを建てて、そこに穀物や食糧を全部しまい込もう。
12:19そして自分の魂に言おう。たましいよ、おまえには長年分の食糧がたくさんたくわえてある。さあ安心せよ、食え、飲め、楽しめ』。
12:20すると神が彼に言われた、『愚かな者よ、あなたの魂は今夜のうちにも取り去られるであろう。そしたら、あなたが用意した物は、だれのものになるのか』。
12:21自分のために宝を積んで神に対して富まない者は、これと同じである」。
五旬祭後第27主日
ルカ71端;13:10-17
13:10安息日に、ある会堂で教えておられると、
13:11そこに十八年間も病気の霊につかれ、かがんだままで、からだを伸ばすことの全くできない女がいた。
13:12イエスはこの女を見て、呼びよせ、「女よ、あなたの病気はなおった」と言って、
13:13手をその上に置かれた。すると立ちどころに、そのからだがまっすぐになり、そして神をたたえはじめた。
13:14ところが会堂司は、イエスが安息日に病気をいやされたことを憤り、群衆にむかって言った、「働くべき日は六日ある。その間に、なおしてもらいにきなさい。安息日にはいけない」。
13:15主はこれに答えて言われた、「偽善者たちよ、あなたがたはだれでも、安息日であっても、自分の牛やろばを家畜小屋から解いて、水を飲ませに引き出してやるではないか。
13:16それなら、十八年間もサタンに縛られていた、アブラハムの娘であるこの女を、安息日であっても、その束縛から解いてやるべきではなかったか」。
13:17こう言われたので、イエスに反対していた人たちはみな恥じ入った。そして群衆はこぞって、イエスがなされたすべてのすばらしいみわざを見て喜んだ。
五旬祭後第28主日
ルカ76端;14:16-24
14:16そこでイエスが言われた、「ある人が盛大な晩餐会を催して、大ぜいの人を招いた。
14:17晩餐の時刻になったので、招いておいた人たちのもとに僕を送って、『さあ、おいでください。もう準備ができましたから』と言わせた。
14:18ところが、みんな一様に断りはじめた。最初の人は、『わたしは土地を買いましたので、行って見なければなりません。どうぞ、おゆるしください』と言った。
14:19ほかの人は、『わたしは五対の牛を買いましたので、それをしらべに行くところです。どうぞ、おゆるしください』、
14:20もうひとりの人は、『わたしは妻をめとりましたので、参ることができません』と言った。
14:21僕は帰ってきて、以上の事を主人に報告した。すると家の主人はおこって僕に言った、『いますぐに、町の大通りや小道へ行って、貧乏人、不具者、盲人、足なえなどを、ここへ連れてきなさい』。
14:22僕は言った、『ご主人様、仰せのとおりにいたしましたが、まだ席がございます』。
14:23主人が僕に言った、『道やかきねのあたりに出て行って、この家がいっぱいになるように、人々を無理やりにひっぱってきなさい。
14:24あなたがたに言って置くが、招かれた人で、わたしの晩餐にあずかる者はひとりもないであろう』」。
五旬祭後第29主日
ルカ85端;17:12-19
17:12そして、ある村にはいられると、十人のらい病人に出会われたが、彼らは遠くの方で立ちとどまり、
17:13声を張りあげて、「イエスさま、わたしたちをあわれんでください」と言った。
17:14イエスは彼らをごらんになって、「祭司たちのところに行って、からだを見せなさい」と言われた。そして、行く途中で彼らはきよめられた。
17:15そのうちのひとりは、自分がいやされたことを知り、大声で神をほめたたえながら帰ってきて、
17:16イエスの足もとにひれ伏して感謝した。これはサマリヤ人であった。
17:17イエスは彼にむかって言われた、「きよめられたのは、十人ではなかったか。ほかの九人は、どこにいるのか。
17:18神をほめたたえるために帰ってきたものは、この他国人のほかにはいないのか」。
17:19それから、その人に言われた、「立って行きなさい。あなたの信仰があなたを救ったのだ」。
五旬祭後第30主日
ルカ91端;18:18-27
18:18また、ある役人がイエスに尋ねた、「よき師よ、何をしたら永遠の生命が受けられましょうか」。
18:19イエスは言われた、「なぜわたしをよき者と言うのか。神ひとりのほかによい者はいない。
18:20いましめはあなたの知っているとおりである、『姦淫するな、殺すな、盗むな、偽証を立てるな、父と母とを敬え』」。
18:21すると彼は言った、「それらのことはみな、小さい時から守っております」。
18:22イエスはこれを聞いて言われた、「あなたのする事がまだ一つ残っている。持っているものをみな売り払って、貧しい人々に分けてやりなさい。そうすれば、天に宝を持つようになろう。そして、わたしに従ってきなさい」。
18:23彼はこの言葉を聞いて非常に悲しんだ。大金持であったからである。
18:24イエスは彼の様子を見て言われた、「財産のある者が神の国にはいるのはなんとむずかしいことであろう。
18:25富んでいる者が神の国にはいるよりは、らくだが針の穴を通る方が、もっとやさしい」。
18:26これを聞いた人々が、「それでは、だれが救われることができるのですか」と尋ねると、
18:27イエスは言われた、「人にはできない事も、神にはできる」。
五旬祭後第31主日
ルカ93端;18:35-43
18:35イエスがエリコに近づかれたとき、ある盲人が道ばたにすわって、物ごいをしていた。
18:36群衆が通り過ぎる音を耳にして、彼は何事があるのかと尋ねた。
18:37ところが、ナザレのイエスがお通りなのだと聞かされたので、
18:38声をあげて、「ダビデの子イエスよ、わたしをあわれんで下さい」と言った。
18:39先頭に立つ人々が彼をしかって黙らせようとしたが、彼はますます激しく叫びつづけた、「ダビデの子よ、わたしをあわれんで下さい」。
18:40そこでイエスは立ちどまって、その者を連れて来るように、とお命じになった。彼が近づいたとき、
18:41「わたしに何をしてほしいのか」とおたずねになると、「主よ、見えるようになることです」と答えた。
18:42そこでイエスは言われた、「見えるようになれ。あなたの信仰があなたを救った」。
18:43すると彼は、たちまち見えるようになった。そして神をあがめながらイエスに従って行った。これを見て、人々はみな神をさんびした。
五旬祭後第32主日ザクヘイの主日
ルカ94端;19:1-10
19:1さて、イエスはエリコにはいって、その町をお通りになった。
19:2ところが、そこにザアカイという名の人がいた。この人は取税人のかしらで、金持であった。
19:3彼は、イエスがどんな人か見たいと思っていたが、背が低かったので、群衆にさえぎられて見ることができなかった。
19:4それでイエスを見るために、前の方に走って行って、いちじく桑の木に登った。そこを通られるところだったからである。
19:5イエスは、その場所にこられたとき、上を見あげて言われた、「ザアカイよ、急いで下りてきなさい。きょう、あなたの家に泊まることにしているから」。
19:6そこでザアカイは急いでおりてきて、よろこんでイエスを迎え入れた。
19:7人々はみな、これを見てつぶやき、「彼は罪人の家にはいって客となった」と言った。
19:8ザアカイは立って主に言った、「主よ、わたしは誓って自分の財産の半分を貧民に施します。また、もしだれかから不正な取立てをしていましたら、それを四倍にして返します」。
19:9イエスは彼に言われた、「きょう、救がこの家にきた。この人もアブラハムの子なのだから。
19:10人の子がきたのは、失われたものを尋ね出して救うためである」。
税吏及びファリセイの主日
ルカ89端;18:10-14
18:10「ふたりの人が祈るために宮に上った。そのひとりはパリサイ人であり、もうひとりは取税人であった。
18:11パリサイ人は立って、ひとりでこう祈った、『神よ、わたしはほかの人たちのような貪欲な者、不正な者、姦淫をする者ではなく、また、この取税人のような人間でもないことを感謝します。
18:12わたしは一週に二度断食しており、全収入の十分の一をささげています』。
18:13ところが、取税人は遠く離れて立ち、目を天にむけようともしないで、胸を打ちながら言った、『神様、罪人のわたしをおゆるしください』と。
18:14あなたがたに言っておく。神に義とされて自分の家に帰ったのは、この取税人であって、あのパリサイ人ではなかった。おおよそ、自分を高くする者は低くされ、自分を低くする者は高くされるであろう」。
蕩子(放蕩息子)の主日
ルカ79端;15:11-32
15:11また言われた、「ある人に、ふたりのむすこがあった。
15:12ところが、弟が父親に言った、『父よ、あなたの財産のうちでわたしがいただく分をください』。そこで、父はその身代をふたりに分けてやった。
15:13それから幾日もたたないうちに、弟は自分のものを全部とりまとめて遠い所へ行き、そこで放蕩に身を持ちくずして財産を使い果した。
15:14何もかも浪費してしまったのち、その地方にひどいききんがあったので、彼は食べることにも窮しはじめた。
15:15そこで、その地方のある住民のところに行って身を寄せたところが、その人は彼を畑にやって豚を飼わせた。
15:16彼は、豚の食べるいなご豆で腹を満たしたいと思うほどであったが、何もくれる人はなかった。
15:17そこで彼は本心に立ちかえって言った、『父のところには食物のあり余っている雇人が大ぜいいるのに、わたしはここで飢えて死のうとしている。
15:18立って、父のところへ帰って、こう言おう、父よ、わたしは天に対しても、あなたにむかっても、罪を犯しました。
15:19もう、あなたのむすこと呼ばれる資格はありません。どうぞ、雇人のひとり同様にしてください』。
15:20そこで立って、父のところへ出かけた。まだ遠く離れていたのに、父は彼をみとめ、哀れに思って走り寄り、その首をだいて接吻した。
15:21むすこは父に言った、『父よ、わたしは天に対しても、あなたにむかっても、罪を犯しました。もうあなたのむすこと呼ばれる資格はありません』。
15:22しかし父は僕たちに言いつけた、『さあ、早く、最上の着物を出してきてこの子に着せ、指輪を手にはめ、はきものを足にはかせなさい。
15:23また、肥えた子牛を引いてきてほふりなさい。食べて楽しもうではないか。
15:24このむすこが死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったのだから』。それから祝宴がはじまった。
15:25ところが、兄は畑にいたが、帰ってきて家に近づくと、音楽や踊りの音が聞えたので、
15:26ひとりの僕を呼んで、『いったい、これは何事なのか』と尋ねた。
15:27僕は答えた、『あなたのご兄弟がお帰りになりました。無事に迎えたというので、父上が肥えた子牛をほふらせなさったのです』。
15:28兄はおこって家にはいろうとしなかったので、父が出てきてなだめると、
15:29兄は父にむかって言った、『わたしは何か年もあなたに仕えて、一度でもあなたの言いつけにそむいたことはなかったのに、友だちと楽しむために子やぎ一匹も下さったことはありません。
15:30それだのに、遊女どもと一緒になって、あなたの身代を食いつぶしたこのあなたの子が帰ってくると、そのために肥えた子牛をほふりなさいました』。
15:31すると父は言った、『子よ、あなたはいつもわたしと一緒にいるし、またわたしのものは全部あなたのものだ。
15:32しかし、このあなたの弟は、死んでいたのに生き返り、いなくなっていたのに見つかったのだから、喜び祝うのはあたりまえである』」。
断肉の主日
マトフェイ106端;25:31-46
25:31人の子が栄光の中にすべての御使たちを従えて来るとき、彼はその栄光の座につくであろう。
25:32そして、すべての国民をその前に集めて、羊飼が羊とやぎとを分けるように、彼らをより分け、
25:33羊を右に、やぎを左におくであろう。
25:34そのとき、王は右にいる人々に言うであろう、『わたしの父に祝福された人たちよ、さあ、世の初めからあなたがたのために用意されている御国を受けつぎなさい。
25:35あなたがたは、わたしが空腹のときに食べさせ、かわいていたときに飲ませ、旅人であったときに宿を貸し、
25:36裸であったときに着せ、病気のときに見舞い、獄にいたときに尋ねてくれたからである』。
25:37そのとき、正しい者たちは答えて言うであろう、『主よ、いつ、わたしたちは、あなたが空腹であるのを見て食物をめぐみ、かわいているのを見て飲ませましたか。
25:38いつあなたが旅人であるのを見て宿を貸し、裸なのを見て着せましたか。
25:39また、いつあなたが病気をし、獄にいるのを見て、あなたの所に参りましたか』。
25:40すると、王は答えて言うであろう、『あなたがたによく言っておく。わたしの兄弟であるこれらの最も小さい者のひとりにしたのは、すなわち、わたしにしたのである』。
25:41それから、左にいる人々にも言うであろう、『のろわれた者どもよ、わたしを離れて、悪魔とその使たちとのために用意されている永遠の火にはいってしまえ。
25:42あなたがたは、わたしが空腹のときに食べさせず、かわいていたときに飲ませず、
25:43旅人であったときに宿を貸さず、裸であったときに着せず、また病気のときや、獄にいたときに、わたしを尋ねてくれなかったからである』。
25:44そのとき、彼らもまた答えて言うであろう、『主よ、いつ、あなたが空腹であり、かわいておられ、旅人であり、裸であり、病気であり、獄におられたのを見て、わたしたちはお世話をしませんでしたか』。
25:45そのとき、彼は答えて言うであろう、『あなたがたによく言っておく。これらの最も小さい者のひとりにしなかったのは、すなわち、わたしにしなかったのである』。
25:46そして彼らは永遠の刑罰を受け、正しい者は永遠の生命に入るであろう」。
乾酪週間(断酪)の主日
マトフェイ17端;6:14-21
6:14もしも、あなたがたが、人々のあやまちをゆるすならば、あなたがたの天の父も、あなたがたをゆるして下さるであろう。
6:15もし人をゆるさないならば、あなたがたの父も、あなたがたのあやまちをゆるして下さらないであろう。
6:16また断食をする時には、偽善者がするように、陰気な顔つきをするな。彼らは断食をしていることを人に見せようとして、自分の顔を見苦しくするのである。よく言っておくが、彼らはその報いを受けてしまっている。
6:17あなたがたは断食をする時には、自分の頭に油を塗り、顔を洗いなさい。 6:18それは断食をしていることが人に知れないで、隠れた所においでになるあなたの父に知られるためである。すると、隠れた事を見ておられるあなたの父は、報いて下さるであろう。
6:19あなたがたは自分のために、虫が食い、さびがつき、また、盗人らが押し入って盗み出すような地上に、宝をたくわえてはならない。
6:20むしろ自分のため、虫も食わず、さびもつかず、また、盗人らが押し入って盗み出すこともない天に、宝をたくわえなさい。
6:21あなたの宝のある所には、心もあるからである。
大斎第1主日
イオアン5端;1:43-51
1:43その翌日、イエスはガリラヤに行こうとされたが、ピリポに出会って言われた、「わたしに従ってきなさい」。
1:44ピリポは、アンデレとペテロとの町ベツサイダの人であった。
1:45このピリポがナタナエルに出会って言った、「わたしたちは、モーセが律法の中にしるしており、預言者たちがしるしていた人、ヨセフの子、ナザレのイエスにいま出会った」。
1:46ナタナエルは彼に言った、「ナザレから、なんのよいものが出ようか」。ピリポは彼に言った、「きて見なさい」。
1:47イエスはナタナエルが自分の方に来るのを見て、彼について言われた、「見よ、あの人こそ、ほんとうのイスラエル人である。その心には偽りがない」。
1:48ナタナエルは言った、「どうしてわたしをご存じなのですか」。イエスは答えて言われた、「ピリポがあなたを呼ぶ前に、わたしはあなたが、いちじくの木の下にいるのを見た」。
1:49ナタナエルは答えた、「先生、あなたは神の子です。あなたはイスラエルの王です」。
1:50イエスは答えて言われた、「あなたが、いちじくの木の下にいるのを見たと、わたしが言ったので信じるのか。これよりも、もっと大きなことを、あなたは見るであろう」。
1:51また言われた、「よくよくあなたがたに言っておく。天が開けて、神の御使たちが人の子の上に上り下りするのを、あなたがたは見るであろう」。
大斎第2主日
マルコ7端;2:1-12
2:1幾日かたって、イエスがまたカペナウムにお帰りになったとき、家におられるといううわさが立ったので、
2:2多くの人々が集まってきて、もはや戸口のあたりまでも、すきまが無いほどになった。そして、イエスは御言を彼らに語っておられた。
2:3すると、人々がひとりの中風の者を四人の人に運ばせて、イエスのところに連れてきた。
2:4ところが、群衆のために近寄ることができないので、イエスのおられるあたりの屋根をはぎ、穴をあけて、中風の者を寝かせたまま、床をつりおろした。
2:5イエスは彼らの信仰を見て、中風の者に、「子よ、あなたの罪はゆるされた」と言われた。
2:6ところが、そこに幾人かの律法学者がすわっていて、心の中で論じた、
2:7「この人は、なぜあんなことを言うのか。それは神をけがすことだ。神ひとりのほかに、だれが罪をゆるすことができるか」。
2:8イエスは、彼らが内心このように論じているのを、自分の心ですぐ見ぬいて、「なぜ、あなたがたは心の中でそんなことを論じているのか。
2:9中風の者に、あなたの罪はゆるされた、と言うのと、起きよ、床を取りあげて歩け、と言うのと、どちらがたやすいか。
2:10しかし、人の子は地上で罪をゆるす権威をもっていることが、あなたがたにわかるために」と彼らに言い、中風の者にむかって、
2:11「あなたに命じる。起きよ、床を取りあげて家に帰れ」と言われた。
2:12すると彼は起きあがり、すぐに床を取りあげて、みんなの前を出て行ったので、一同は大いに驚き、神をあがめて、「こんな事は、まだ一度も見たことがない」と言った。
大斎第 3主日
マルコ37端;8:34-9:1
8:34それから群衆を弟子たちと一緒に呼び寄せて、彼らに言われた、「だれでもわたしについてきたいと思うなら、自分を捨て、自分の十字架を負うて、わたしに従ってきなさい。
8:35自分の命を救おうと思う者はそれを失い、わたしのため、また福音のために、自分の命を失う者は、それを救うであろう。
8:36人が全世界をもうけても、自分の命を損したら、なんの得になろうか。
8:37また、人はどんな代価を払って、その命を買いもどすことができようか。
8:38邪悪で罪深いこの時代にあって、わたしとわたしの言葉とを恥じる者に対しては、人の子もまた、父の栄光のうちに聖なる御使たちと共に来るときに、その者を恥じるであろう」。
9:1また、彼らに言われた、「よく聞いておくがよい。神の国が力をもって来るのを見るまでは、決して死を味わわない者が、ここに立っている者の中にいる」。
大斎第4主日
マルコ40端;9:17-31
9:17群衆のひとりが答えた、「先生、おしの霊につかれているわたしのむすこを、こちらに連れて参りました。
9:18霊がこのむすこにとりつきますと、どこででも彼を引き倒し、それから彼はあわを吹き、歯をくいしばり、からだをこわばらせてしまいます。それでお弟子たちに、この霊を追い出してくださるように願いましたが、できませんでした」。
9:19イエスは答えて言われた、「ああ、なんという不信仰な時代であろう。いつまで、わたしはあなたがたと一緒におられようか。いつまで、あなたがたに我慢ができようか。その子をわたしの所に連れてきなさい」。
9:20そこで人々は、その子をみもとに連れてきた。霊がイエスを見るや否や、その子をひきつけさせたので、子は地に倒れ、あわを吹きながらころげまわった。
9:21そこで、イエスが父親に「いつごろから、こんなになったのか」と尋ねられると、父親は答えた、「幼い時からです。
9:22霊はたびたび、この子を火の中、水の中に投げ入れて、殺そうとしました。しかしできますれば、わたしどもをあわれんでお助けください」。
9:23イエスは彼に言われた、「もしできれば、と言うのか。信ずる者には、どんな事でもできる」。
9:24その子の父親はすぐ叫んで言った、「信じます。不信仰なわたしを、お助けください」。
9:25イエスは群衆が駆け寄って来るのをごらんになって、けがれた霊をしかって言われた、「おしとつんぼの霊よ、わたしがおまえに命じる。この子から出て行け。二度と、はいって来るな」。
9:26すると霊は叫び声をあげ、激しく引きつけさせて出て行った。その子は死人のようになったので、多くの人は、死んだのだと言った。
9:27しかし、イエスが手を取って起されると、その子は立ち上がった。
9:28家にはいられたとき、弟子たちはひそかにお尋ねした、「わたしたちは、どうして霊を追い出せなかったのですか」。
9:29すると、イエスは言われた、「このたぐいは、祈によらなければ、どうしても追い出すことはできない」。
9:30それから彼らはそこを立ち去り、ガリラヤをとおって行ったが、イエスは人に気づかれるのを好まれなかった。
9:31それは、イエスが弟子たちに教えて、「人の子は人々の手にわたされ、彼らに殺され、殺されてから三日の後によみがえるであろう」と言っておられたからである。
大斎第5主日
マルコ47端;10:32-45
10:32さて、一同はエルサレムへ上る途上にあったが、イエスが先頭に立って行かれたので、彼らは驚き怪しみ、従う者たちは恐れた。するとイエスはまた十二弟子を呼び寄せて、自分の身に起ろうとすることについて語りはじめられた、
10:33「見よ、わたしたちはエルサレムへ上って行くが、人の子は祭司長、律法学者たちの手に引きわたされる。そして彼らは死刑を宣告した上、彼を異邦人に引きわたすであろう。
10:34また彼をあざけり、つばきをかけ、むち打ち、ついに殺してしまう。そして彼は三日の後によみがえるであろう」。
10:35さて、ゼベダイの子のヤコブとヨハネとがイエスのもとにきて言った、「先生、わたしたちがお頼みすることは、なんでもかなえてくださるようにお願いします」。
10:36イエスは彼らに「何をしてほしいと、願うのか」と言われた。
10:37すると彼らは言った、「栄光をお受けになるとき、ひとりをあなたの右に、ひとりを左にすわるようにしてください」。
10:38イエスは言われた、「あなたがたは自分が何を求めているのか、わかっていない。あなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしが受けるバプテスマを受けることができるか」。
10:39彼らは「できます」と答えた。するとイエスは言われた、「あなたがたは、わたしが飲む杯を飲み、わたしが受けるバプテスマを受けるであろう。
10:40しかし、わたしの右、左にすわらせることは、わたしのすることではなく、ただ備えられている人々だけに許されることである」。
10:41十人の者はこれを聞いて、ヤコブとヨハネとのことで憤慨し出した。
10:42そこで、イエスは彼らを呼び寄せて言われた、「あなたがたの知っているとおり、異邦人の支配者と見られている人々は、その民を治め、また偉い人たちは、その民の上に権力をふるっている。
10:43しかし、あなたがたの間では、そうであってはならない。かえって、あなたがたの間で偉くなりたいと思う者は、仕える人となり、
10:44あなたがたの間でかしらになりたいと思う者は、すべての人の僕とならねばならない。
10:45人の子がきたのも、仕えられるためではなく、仕えるためであり、また多くの人のあがないとして、自分の命を与えるためである」。
聖枝祭主日
イオアン41端;12:1-18
12:1過越の祭の六日まえに、イエスはベタニヤに行かれた。そこは、イエスが死人の中からよみがえらせたラザロのいた所である。
12:2イエスのためにそこで夕食の用意がされ、マルタは給仕をしていた。イエスと一緒に食卓についていた者のうちに、ラザロも加わっていた。
12:3その時、マリヤは高価で純粋なナルドの香油一斤を持ってきて、イエスの足にぬり、自分の髪の毛でそれをふいた。すると、香油のかおりが家にいっぱいになった。
12:4弟子のひとりで、イエスを裏切ろうとしていたイスカリオテのユダが言った、
12:5「なぜこの香油を三百デナリに売って、貧しい人たちに、施さなかったのか」。
12:6彼がこう言ったのは、貧しい人たちに対する思いやりがあったからではなく、自分が盗人であり、財布を預かっていて、その中身をごまかしていたからであった。
12:7イエスは言われた、「この女のするままにさせておきなさい。わたしの葬りの日のために、それをとっておいたのだから。
12:8貧しい人たちはいつもあなたがたと共にいるが、わたしはいつも共にいるわけではない」。
12:9大ぜいのユダヤ人たちが、そこにイエスのおられるのを知って、押しよせてきた。それはイエスに会うためだけではなく、イエスが死人のなかから、よみがえらせたラザロを見るためでもあった。
12:10そこで祭司長たちは、ラザロも殺そうと相談した。
12:11それは、ラザロのことで、多くのユダヤ人が彼らを離れ去って、イエスを信じるに至ったからである。
12:12その翌日、祭にきていた大ぜいの群衆は、イエスがエルサレムにこられると聞いて、
12:13しゅろの枝を手にとり、迎えに出て行った。そして叫んだ、「ホサナ、主の御名によってきたる者に祝福あれ、イスラエルの王に」。
12:14イエスは、ろばの子を見つけて、その上に乗られた。それは
12:15「シオンの娘よ、恐れるな。見よ、あなたの王がろばの子に乗っておいでになる」と書いてあるとおりであった。
12:16弟子たちは初めにはこのことを悟らなかったが、イエスが栄光を受けられた時に、このことがイエスについて書かれてあり、またそのとおりに、人々がイエスに対してしたのだということを、思い起した。
12:17また、イエスがラザロを墓から呼び出して、死人の中からよみがえらせたとき、イエスと一緒にいた群衆が、そのあかしをした。
12:18群衆がイエスを迎えに出たのは、イエスがこのようなしるしを行われたことを、聞いていたからである。
光明なる主の復活大祭
イオアン1端;1:1-17
1:1初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった。
1:2この言は初めに神と共にあった。
1:3すべてのものは、これによってできた。できたもののうち、一つとしてこれによらないものはなかった。
1:4この言に命があった。そしてこの命は人の光であった。
1:5光はやみの中に輝いている。そして、やみはこれに勝たなかった。
1:6ここにひとりの人があって、神からつかわされていた。その名をヨハネと言った。
1:7この人はあかしのためにきた。光についてあかしをし、彼によってすべての人が信じるためである。
1:8彼は光ではなく、ただ、光についてあかしをするためにきたのである。
1:9すべての人を照すまことの光があって、世にきた。
1:10彼は世にいた。そして、世は彼によってできたのであるが、世は彼を知らずにいた。
1:11彼は自分のところにきたのに、自分の民は彼を受けいれなかった。
1:12しかし、彼を受けいれた者、すなわち、その名を信じた人々には、彼は神の子となる力を与えたのである。
1:13それらの人は、血すじによらず、肉の欲によらず、また、人の欲にもよらず、ただ神によって生れたのである。
1:14そして言は肉体となり、わたしたちのうちに宿った。わたしたちはその栄光を見た。それは父のひとり子としての栄光であって、めぐみとまこととに満ちていた。
1:15ヨハネは彼についてあかしをし、叫んで言った、「『わたしのあとに来るかたは、わたしよりもすぐれたかたである。わたしよりも先におられたからである』とわたしが言ったのは、この人のことである」。
1:16わたしたちすべての者は、その満ち満ちているものの中から受けて、めぐみにめぐみを加えられた。
1:17律法はモーセをとおして与えられ、めぐみとまこととは、イエス・キリストをとおしてきたのである。
聖使徒フォマの主日
イオアン65端;20:19-31
20:19その日、すなわち、一週の初めの日の夕方、弟子たちはユダヤ人をおそれて、自分たちのおる所の戸をみなしめていると、イエスがはいってきて、彼らの中に立ち、「安かれ」と言われた。
20:20そう言って、手とわきとを、彼らにお見せになった。弟子たちは主を見て喜んだ。
20:21イエスはまた彼らに言われた、「安かれ。父がわたしをおつかわしになったように、わたしもまたあなたがたをつかわす」。
20:22そう言って、彼らに息を吹きかけて仰せになった、「聖霊を受けよ。
20:23あなたがたがゆるす罪は、だれの罪でもゆるされ、あなたがたがゆるさずにおく罪は、そのまま残るであろう」。
20:24十二弟子のひとりで、デドモと呼ばれているトマスは、イエスがこられたとき、彼らと一緒にいなかった。
20:25ほかの弟子たちが、彼に「わたしたちは主にお目にかかった」と言うと、トマスは彼らに言った、「わたしは、その手に釘あとを見、わたしの指をその釘あとにさし入れ、また、わたしの手をそのわきにさし入れてみなければ、決して信じない」。
20:26八日ののち、イエスの弟子たちはまた家の内におり、トマスも一緒にいた。戸はみな閉ざされていたが、イエスがはいってこられ、中に立って「安かれ」と言われた。
20:27それからトマスに言われた、「あなたの指をここにつけて、わたしの手を見なさい。手をのばしてわたしのわきにさし入れてみなさい。信じない者にならないで、信じる者になりなさい」。
20:28トマスはイエスに答えて言った、「わが主よ、わが神よ」。
20:29イエスは彼に言われた、「あなたはわたしを見たので信じたのか。見ないで信ずる者は、さいわいである」。
20:30イエスは、この書に書かれていないしるしを、ほかにも多く、弟子たちの前で行われた。
20:31しかし、これらのことを書いたのは、あなたがたがイエスは神の子キリストであると信じるためであり、また、そう信じて、イエスの名によって命を得るためである。
パスハ後第3聖携香女
マルコ69端;15:43-16:8
15:43アリマタヤのヨセフが大胆にもピラトの所へ行き、イエスのからだの引取りかたを願った。彼は地位の高い議員であって、彼自身、神の国を待ち望んでいる人であった。
15:44ピラトは、イエスがもはや死んでしまったのかと不審に思い、百卒長を呼んで、もう死んだのかと尋ねた。
15:45そして、百卒長から確かめた上、死体をヨセフに渡した。
15:46そこで、ヨセフは亜麻布を買い求め、イエスをとりおろして、その亜麻布に包み、岩を掘って造った墓に納め、墓の入口に石をころがしておいた。
15:47マグダラのマリヤとヨセの母マリヤとは、イエスが納められた場所を見とどけた。
16:1さて、安息日が終ったので、マグダラのマリヤとヤコブの母マリヤとサロメとが、行ってイエスに塗るために、香料を買い求めた。
16:2そして週の初めの日に、早朝、日の出のころ墓に行った。
16:3そして、彼らは「だれが、わたしたちのために、墓の入口から石をころがしてくれるのでしょうか」と話し合っていた。
16:4ところが、目をあげて見ると、石はすでにころがしてあった。この石は非常に大きかった。
16:5墓の中にはいると、右手に真白な長い衣を着た若者がすわっているのを見て、非常に驚いた。
16:6するとこの若者は言った、「驚くことはない。あなたがたは十字架につけられたナザレ人イエスを捜しているのであろうが、イエスはよみがえって、ここにはおられない。ごらんなさい、ここがお納めした場所である。
16:7今から弟子たちとペテロとの所へ行って、こう伝えなさい。イエスはあなたがたより先にガリラヤへ行かれる。かねて、あなたがたに言われたとおり、そこでお会いできるであろう、と」。
16:8女たちはおののき恐れながら、墓から出て逃げ去った。そして、人には何も言わなかった。恐ろしかったからである。
パスハ後第4癰者
イオアン14端;5:1-15
5:1こののち、ユダヤ人の祭があったので、イエスはエルサレムに上られた。
5:2エルサレムにある羊の門のそばに、ヘブル語でベテスダと呼ばれる池があった。そこには五つの廊があった。
5:3その廊の中には、病人、盲人、足なえ、やせ衰えた者などが、大ぜいからだを横たえていた。〔彼らは水の動くのを待っていたのである。
5:4それは、時々、主の御使がこの池に降りてきて水を動かすことがあるが、水が動いた時まっ先にはいる者は、どんな病気にかかっていても、いやされたからである。〕
5:5さて、そこに三十八年のあいだ、病気に悩んでいる人があった。
5:6イエスはその人が横になっているのを見、また長い間わずらっていたのを知って、その人に「なおりたいのか」と言われた。
5:7この病人はイエスに答えた、「主よ、水が動く時に、わたしを池の中に入れてくれる人がいません。わたしがはいりかけると、ほかの人が先に降りて行くのです」。
5:8イエスは彼に言われた、「起きて、あなたの床を取りあげ、そして歩きなさい」。
5:9すると、この人はすぐにいやされ、床をとりあげて歩いて行った。
その日は安息日であった。
5:10そこでユダヤ人たちは、そのいやされた人に言った、「きょうは安息日だ。床を取りあげるのは、よろしくない」。
5:11彼は答えた、「わたしをなおして下さったかたが、床を取りあげて歩けと、わたしに言われました」。
5:12彼らは尋ねた、「取りあげて歩けと言った人は、だれか」。
5:13しかし、このいやされた人は、それがだれであるか知らなかった。群衆がその場にいたので、イエスはそっと出て行かれたからである。
5:14そののち、イエスは宮でその人に出会ったので、彼に言われた、「ごらん、あなたはよくなった。もう罪を犯してはいけない。何かもっと悪いことが、あなたの身に起るかも知れないから」。
5:15彼は出て行って、自分をいやしたのはイエスであったと、ユダヤ人たちに告げた。
パスハ後第5サマリヤ婦
イオアン12端;4:5-42
4:5そこで、イエスはサマリヤのスカルという町においでになった。この町は、ヤコブがその子ヨセフに与えた土地の近くにあったが、
4:6そこにヤコブの井戸があった。イエスは旅の疲れを覚えて、そのまま、この井戸のそばにすわっておられた。時は昼の十二時ごろであった。
4:7ひとりのサマリヤの女が水をくみにきたので、イエスはこの女に、「水を飲ませて下さい」と言われた。
4:8弟子たちは食物を買いに町に行っていたのである。
4:9すると、サマリヤの女はイエスに言った、「あなたはユダヤ人でありながら、どうしてサマリヤの女のわたしに、飲ませてくれとおっしゃるのですか」。これは、ユダヤ人はサマリヤ人と交際していなかったからである。
4:10イエスは答えて言われた、「もしあなたが神の賜物のことを知り、また、『水を飲ませてくれ』と言った者が、だれであるか知っていたならば、あなたの方から願い出て、その人から生ける水をもらったことであろう」。
4:11女はイエスに言った、「主よ、あなたは、くむ物をお持ちにならず、その上、井戸は深いのです。その生ける水を、どこから手に入れるのですか。
4:12あなたは、この井戸を下さったわたしたちの父ヤコブよりも、偉いかたなのですか。ヤコブ自身も飲み、その子らも、その家畜も、この井戸から飲んだのですが」。
4:13イエスは女に答えて言われた、「この水を飲む者はだれでも、またかわくであろう。
4:14しかし、わたしが与える水を飲む者は、いつまでも、かわくことがないばかりか、わたしが与える水は、その人のうちで泉となり、永遠の命に至る水が、わきあがるであろう」。
4:15女はイエスに言った、「主よ、わたしがかわくことがなく、また、ここにくみにこなくてもよいように、その水をわたしに下さい」。
4:16イエスは女に言われた、「あなたの夫を呼びに行って、ここに連れてきなさい」。
4:17女は答えて言った、「わたしには夫はありません」。イエスは女に言われた、「夫がないと言ったのは、もっともだ。
4:18あなたには五人の夫があったが、今のはあなたの夫ではない。あなたの言葉のとおりである」。
4:19女はイエスに言った、「主よ、わたしはあなたを預言者と見ます。
4:20わたしたちの先祖は、この山で礼拝をしたのですが、あなたがたは礼拝すべき場所は、エルサレムにあると言っています」。
4:21イエスは女に言われた、「女よ、わたしの言うことを信じなさい。あなたがたが、この山でも、またエルサレムでもない所で、父を礼拝する時が来る。
4:22あなたがたは自分の知らないものを拝んでいるが、わたしたちは知っているかたを礼拝している。救はユダヤ人から来るからである。
4:23しかし、まことの礼拝をする者たちが、霊とまこととをもって父を礼拝する時が来る。そうだ、今きている。父は、このような礼拝をする者たちを求めておられるからである。
4:24神は霊であるから、礼拝をする者も、霊とまこととをもって礼拝すべきである」。
4:25女はイエスに言った、「わたしは、キリストと呼ばれるメシヤがこられることを知っています。そのかたがこられたならば、わたしたちに、いっさいのことを知らせて下さるでしょう」。
4:26イエスは女に言われた、「あなたと話をしているこのわたしが、それである」。
4:27そのとき、弟子たちが帰って来て、イエスがひとりの女と話しておられるのを見て不思議に思ったが、しかし、「何を求めておられますか」とも、「何を彼女と話しておられるのですか」とも、尋ねる者はひとりもなかった。
4:28この女は水がめをそのままそこに置いて町に行き、人々に言った、
4:29「わたしのしたことを何もかも、言いあてた人がいます。さあ、見にきてごらんなさい。もしかしたら、この人がキリストかも知れません」。
4:30人々は町を出て、ぞくぞくとイエスのところへ行った。
4:31その間に弟子たちはイエスに、「先生、召しあがってください」とすすめた。
4:32ところが、イエスは言われた、「わたしには、あなたがたの知らない食物がある」。
4:33そこで、弟子たちが互に言った、「だれかが、何か食べるものを持ってきてさしあげたのであろうか」。
4:34イエスは彼らに言われた、「わたしの食物というのは、わたしをつかわされたかたのみこころを行い、そのみわざをなし遂げることである。
4:35あなたがたは、刈入れ時が来るまでには、まだ四か月あると、言っているではないか。しかし、わたしはあなたがたに言う。目をあげて畑を見なさい。はや色づいて刈入れを待っている。
4:36刈る者は報酬を受けて、永遠の命に至る実を集めている。まく者も刈る者も、共々に喜ぶためである。
4:37そこで、『ひとりがまき、ひとりが刈る』ということわざが、ほんとうのこととなる。
4:38わたしは、あなたがたをつかわして、あなたがたがそのために労苦しなかったものを刈りとらせた。ほかの人々が労苦し、あなたがたは、彼らの労苦の実にあずかっているのである」。
4:39さて、この町からきた多くのサマリヤ人は、「この人は、わたしのしたことを何もかも言いあてた」とあかしした女の言葉によって、イエスを信じた。
4:40そこで、サマリヤ人たちはイエスのもとにきて、自分たちのところに滞在していただきたいと願ったので、イエスはそこにふつか滞在された。
4:41そしてなお多くの人々が、イエスの言葉を聞いて信じた。
4:42彼らは女に言った、「わたしたちが信じるのは、もうあなたが話してくれたからではない。自分自身で親しく聞いて、この人こそまことに世の救主であることが、わかったからである」。
パスハ後第6瞽者
イオアン34端;9:1-38
9:1イエスが道をとおっておられるとき、生れつきの盲人を見られた。
9:2弟子たちはイエスに尋ねて言った、「先生、この人が生れつき盲人なのは、だれが罪を犯したためですか。本人ですか、それともその両親ですか」。
9:3イエスは答えられた、「本人が罪を犯したのでもなく、また、その両親が犯したのでもない。ただ神のみわざが、彼の上に現れるためである。
9:4わたしたちは、わたしをつかわされたかたのわざを、昼の間にしなければならない。夜が来る。すると、だれも働けなくなる。
9:5わたしは、この世にいる間は、世の光である」。
9:6イエスはそう言って、地につばきをし、そのつばきで、どろをつくり、そのどろを盲人の目に塗って言われた、
9:7「シロアム(つかわされた者、の意)の池に行って洗いなさい」。そこで彼は行って洗った。そして見えるようになって、帰って行った。
9:8近所の人々や、彼がもと、こじきであったのを見知っていた人々が言った、「この人は、すわってこじきをしていた者ではないか」。
9:9ある人々は「その人だ」と言い、他の人々は「いや、ただあの人に似ているだけだ」と言った。しかし、本人は「わたしがそれだ」と言った。
9:10そこで人々は彼に言った、「では、おまえの目はどうしてあいたのか」。 9:11彼は答えた、「イエスというかたが、どろをつくって、わたしの目に塗り、『シロアムに行って洗え』と言われました。それで、行って洗うと、見えるようになりました」。
9:12人々は彼に言った、「その人はどこにいるのか」。彼は「知りません」と答えた。
9:13人々は、もと盲人であったこの人を、パリサイ人たちのところにつれて行った。
9:14イエスがどろをつくって彼の目をあけたのは、安息日であった。
9:15パリサイ人たちもまた、「どうして見えるようになったのか」、と彼に尋ねた。彼は答えた、「あのかたがわたしの目にどろを塗り、わたしがそれを洗い、そして見えるようになりました」。
9:16そこで、あるパリサイ人たちが言った、「その人は神からきた人ではない。安息日を守っていないのだから」。しかし、ほかの人々は言った、「罪のある人が、どうしてそのようなしるしを行うことができようか」。そして彼らの間に分争が生じた。
9:17そこで彼らは、もう一度この盲人に聞いた、「おまえの目をあけてくれたその人を、どう思うか」。「預言者だと思います」と彼は言った。
9:18ユダヤ人たちは、彼がもと盲人であったが見えるようになったことを、まだ信じなかった。ついに彼らは、目が見えるようになったこの人の両親を呼んで、
9:19尋ねて言った、「これが、生れつき盲人であったと、おまえたちの言っているむすこか。それではどうして、いま目が見えるのか」。
9:20両親は答えて言った、「これがわたしどものむすこであること、また生れつき盲人であったことは存じています。
9:21しかし、どうしていま見えるようになったのか、それは知りません。また、だれがその目をあけて下さったのかも知りません。あれに聞いて下さい。あれはもうおとなですから、自分のことは自分で話せるでしょう」。
9:22両親はユダヤ人たちを恐れていたので、こう答えたのである。それは、もしイエスをキリストと告白する者があれば、会堂から追い出すことに、ユダヤ人たちが既に決めていたからである。
9:23彼の両親が「おとなですから、あれに聞いて下さい」と言ったのは、そのためであった。
9:24そこで彼らは、盲人であった人をもう一度呼んで言った、「神に栄光を帰するがよい。あの人が罪人であることは、わたしたちにはわかっている」。
9:25すると彼は言った、「あのかたが罪人であるかどうか、わたしは知りません。ただ一つのことだけ知っています。わたしは盲であったが、今は見えるということです」。
9:26そこで彼らは言った、「その人はおまえに何をしたのか。どんなにしておまえの目をあけたのか」。
9:27彼は答えた、「そのことはもう話してあげたのに、聞いてくれませんでした。なぜまた聞こうとするのですか。あなたがたも、あの人の弟子になりたいのですか」。
9:28そこで彼らは彼をののしって言った、「おまえはあれの弟子だが、わたしたちはモーセの弟子だ。
9:29モーセに神が語られたということは知っている。だが、あの人がどこからきた者か、わたしたちは知らぬ」。
9:30そこで彼が答えて言った、「わたしの目をあけて下さったのに、そのかたがどこからきたか、ご存じないとは、不思議千万です。
9:31わたしたちはこのことを知っています。神は罪人の言うことはお聞きいれになりませんが、神を敬い、そのみこころを行う人の言うことは、聞きいれて下さいます。
9:32生れつき盲であった者の目をあけた人があるということは、世界が始まって以来、聞いたことがありません。
9:33もしあのかたが神からきた人でなかったら、何一つできなかったはずです」。
9:34これを聞いて彼らは言った、「おまえは全く罪の中に生れていながら、わたしたちを教えようとするのか」。そして彼を外へ追い出した。
9:35イエスは、その人が外へ追い出されたことを聞かれた。そして彼に会って言われた、「あなたは人の子を信じるか」。
9:36彼は答えて言った、「主よ、それはどなたですか。そのかたを信じたいのですが」。
9:37イエスは彼に言われた、「あなたは、もうその人に会っている。今あなたと話しているのが、その人である」。
9:38すると彼は、「主よ、信じます」と言って、イエスを拝した。
パスハ後第7諸聖神父
イオアン56端;17:1-13
17:1これらのことを語り終えると、イエスは天を見あげて言われた、「父よ、時がきました。あなたの子があなたの栄光をあらわすように、子の栄光をあらわして下さい。
17:2あなたは、子に賜わったすべての者に、永遠の命を授けさせるため、万民を支配する権威を子にお与えになったのですから。
17:3永遠の命とは、唯一の、まことの神でいますあなたと、また、あなたがつかわされたイエス・キリストとを知ることであります。
17:4わたしは、わたしにさせるためにお授けになったわざをなし遂げて、地上であなたの栄光をあらわしました。
17:5父よ、世が造られる前に、わたしがみそばで持っていた栄光で、今み前にわたしを輝かせて下さい。
17:6わたしは、あなたが世から選んでわたしに賜わった人々に、み名をあらわしました。彼らはあなたのものでありましたが、わたしに下さいました。そして、彼らはあなたの言葉を守りました。
17:7いま彼らは、わたしに賜わったものはすべて、あなたから出たものであることを知りました。
17:8なぜなら、わたしはあなたからいただいた言葉を彼らに与え、そして彼らはそれを受け、わたしがあなたから出たものであることをほんとうに知り、また、あなたがわたしをつかわされたことを信じるに至ったからです。
17:9わたしは彼らのためにお願いします。わたしがお願いするのは、この世のためにではなく、あなたがわたしに賜わった者たちのためです。彼らはあなたのものなのです。
17:10わたしのものは皆あなたのもの、あなたのものはわたしのものです。そして、わたしは彼らによって栄光を受けました。
17:11わたしはもうこの世にはいなくなりますが、彼らはこの世に残っており、わたしはみもとに参ります。聖なる父よ、わたしに賜わった御名によって彼らを守って下さい。それはわたしたちが一つであるように、彼らも一つになるためであります。
17:12わたしが彼らと一緒にいた間は、あなたからいただいた御名によって彼らを守り、また保護してまいりました。彼らのうち、だれも滅びず、ただ滅びの子だけが滅びました。それは聖書が成就するためでした。
17:13今わたしはみもとに参ります。そして世にいる間にこれらのことを語るのは、わたしの喜びが彼らのうちに満ちあふれるためであります。
聖五旬祭主日
イオアン27端;7:37-52;8:12
7:37祭の終りの大事な日に、イエスは立って、叫んで言われた、「だれでもかわく者は、わたしのところにきて飲むがよい。
7:38わたしを信じる者は、聖書に書いてあるとおり、その腹から生ける水が川となって流れ出るであろう」。
7:39これは、イエスを信じる人々が受けようとしている御霊をさして言われたのである。すなわち、イエスはまだ栄光を受けておられなかったので、御霊がまだ下っていなかったのである。
7:40群衆のある者がこれらの言葉を聞いて、「このかたは、ほんとうに、あの預言者である」と言い、
7:41ほかの人たちは「このかたはキリストである」と言い、また、ある人々は、「キリストはまさか、ガリラヤからは出てこないだろう。
7:42キリストは、ダビデの子孫から、またダビデのいたベツレヘムの村から出ると、聖書に書いてあるではないか」と言った。
7:43こうして、群衆の間にイエスのことで分争が生じた。
7:44彼らのうちのある人々は、イエスを捕えようと思ったが、だれひとり手をかける者はなかった。
7:45さて、下役どもが祭司長たちやパリサイ人たちのところに帰ってきたので、彼らはその下役どもに言った、「なぜ、あの人を連れてこなかったのか」。
7:46下役どもは答えた、「この人の語るように語った者は、これまでにありませんでした」。
7:47パリサイ人たちが彼らに答えた、「あなたがたまでが、だまされているのではないか。
7:48役人たちやパリサイ人たちの中で、ひとりでも彼を信じた者があっただろうか。
7:49律法をわきまえないこの群衆は、のろわれている」。
7:50彼らの中のひとりで、以前にイエスに会いにきたことのあるニコデモが、彼らに言った、
7:51「わたしたちの律法によれば、まずその人の言い分を聞き、その人のしたことを知った上でなければ、さばくことをしないのではないか」。
7:52彼らは答えて言った、「あなたもガリラヤ出なのか。よく調べてみなさい、ガリラヤからは預言者が出るものではないことが、わかるだろう」。
8:12イエスは、また人々に語ってこう言われた、「わたしは世の光である。わたしに従って来る者は、やみのうちを歩くことがなく、命の光をもつであろう」。