生者と死者の記憶

(『記憶録』日本ハリストス正教会教団、昭和57年刊)

 

 信者の信仰生活にとって聖書を読むことは欠かすことは出来ないものですが,その他に『小祈祷書』と『記憶録』を常備し,日々の生活で自分や家族,隣人のためにも祈ることが定められています。

 記憶録はその中でも最も信者の人格,徳を高める行為につながるものといわれています。

 それは記憶録が,自分一人のための記憶ばかりでなく,生者・死者を問わず多くの人のために祈り記憶する信者の精神性を教えているからです。

 生者の記憶とは,自分の父母・兄弟・姉妹・親戚・代父母,及び管轄司祭,友人,そのほか病者,貧困者,旅行者等のために,自分が代わって祈り,神恩と幸福・壮健を賜われるよう願うことです。

 また死者の記憶とは,生前その人が犯した罪の赦しを願い,永眠者が神に喜ばれる者となって,永遠の神の福楽の世界に入れるように祈ることを云います。

 この記憶録の生者・死者のらんにそれぞれ聖名氏名を記入し,「小祈祷書」で朝晩祈るとき読み上げ,また日曜日に教会へ行ったときに聖パンを買い求めて記憶録を添え,奉事の前(おそくともヘルビムの歌の前)に司祭に差し出し記憶してもらいます。

 また,その他、司祭に生者の記憶を願う場合,感謝祈祷,信者訪問祈祷,病者平癒祈祷,旅行の安全を願う祈祷など,やはり司祭に渡し記憶してもらいます。死者の場合,パニヒダ,リテヤなど特別に祈りを司祭にしていただくとき差し出し記憶してもらいます。

(『記憶録』日本ハリストス正教会教団、昭和57年刊より。事務所にて販売しています。)

 

 

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